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  • Daisuke A

空港 ~ 第一章5


 前回は『 BOOK(ブック)』と『 CompositeCard(コンポジ)』とは?

 モデルに関する知識などはその都度で触れておこうと思うので、仕事の流れや仕組みなどはまた後々で話すよ。

 現在は空港の発着に、何か強い人間性を想うようになった。

 遅い時間の空港は子供の姿や人が少なく、昼間よりも静けさがある。利用が終了したチェックインカウンターから順に明かりは消され、想像よりもかなり暗い。点々と灯される場所それぞれが多彩な雰囲気に包まれていた。時折で流れるアナウンスは特別な演出にも思える。

 ボブ君は買物をするからと再度で待合せとしたが、大人の配慮だったかも。 『私も買物してくるから、ここに居てね』  リンは小走りで消えて行くのを不思議に思いつつも、自分は目に入った売店でソフトクリームを購入、食べながらで待った。ちなみに自分は超甘党で一番の大好物はアイスであり、自分の外見やモデルなのも関係なく、絶対にバニラが王道だと思っている。ついでに述べておくと、かなりの映画好きであり、自分の置かれたその瞬間の状況を映画のワンシーンに置換えて妄想する事で、自分の気分をコントロールする事があるね。

 これから日本を出て海外に挑戦する、これまでの努力を想い返しつつ、さらなる一歩を踏み出そうとしている、空港で彼女と一緒に出発時刻を待つ自分、ただベンチに座るだけの仕草でも自然にカッコつけちゃうわけ。  自分ってけっこうカッチョイイんじゃなかろうか♪なんて妄想しながら、パリコレとミラノコレクションで有名ブランドにピックアップされて一躍有名人になったらどうしようか?などと内心は馬鹿な妄想で心は浮かれていたよね。ふと頭をよぎる失敗したら、仕事を1本も獲れなかったらどう理由をつけるか?その前に事務所に入れなかった場合はシャレにもならないのでどう誤魔化すのか?そんな不安も実際は心の奥底に眠っていたけど、強引に気がつかないふりをしていた本音もあった。  すでに挑戦すると決定しているのに、頭がクリアにはならない。ごちゃごちゃと物思いに耽っていた。

 挑戦したいけれど、失敗はしたくないから悩む。

『はいこれ、ヒロさんへの御土産』  リンが手渡してきた買物理由、素晴らしいね。 「忘れてた、ありがとう」 『私のアイスは?』 「食べちゃったけど……なぜ知ってんの?」 『手に持ってるの、アイスのゴミでしょ?』 「じゃぁ、見たまんまで食べ終わってるのもわかってんジャン」 『……。』  少々で不穏な空気を感じる、これも日常。 「帰りたいんでしょ?そろそろ出ないと遅くなるし~」  自分で言葉を発しながらで、どうして自分はいつもこうなのかと反省を同時に感じている時がたまにありませんか。 『まだいます~!』  これは意外な返答で普段なら怒って帰るはず、これは非日常。 「あぁ、そうですか」 『……。』  これはキスシーンでもしておくかと思いつつ、あまり会話は弾まない。 『じゃぁ、時間やばいから先に行くね』 「キスシーンでもしとく?」 『いりません~1ヶ月後を楽しみにしとくから♪ボブ君に宜しくね!』  やはり日常に戻り、リンは小走り。意外にこういうシーンも悪くないなとカッコつけて歩き出したけれど、ボブ君を待たせてる事を思い出して自分も小走り開始。

 出国手続きも搭乗もサクッと終了。機内は空いていて、人はまばら。ボブ君とは並んで座るのではなく、前後の席に座って隣座席も広々で使う事にした。飛行機は離陸を開始してシートベルトの着用サインが消えると同時に、少々で機内はざわめく。音楽や映画などの確認でそれぞれが機内の時間潰し準備を開始する。

 自分は離陸時に心の中で叫んでた、「では、海外へ出発進行~♪」子供染みているが、遠足へ行く気分と似たテンションの高騰。

 早速、ボブ君と今回についての機内ミーティングを開始したい!そんなタイミングにボブ君からの一言。 『じゃぁ大介、おやすみ~♪』  ボブ君は完全に寝るモード。スリッパを脱ぎ、すでに横たわり、移動ファッションを理解したよね。  しょうがないので自分は映画鑑賞モードにしたけど、結局は好きな映画をさっぱり集中できないわけ。単純にこれからの事が気になり、映画は頭に入らない。

#海外に挑んだモデル23歳の夏 #DaisukeA2223歳

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