- Daisuke A
雨上がり MW17-008
撮影予定の半分が終えた頃、雨があがり屋外へ出た。生憎の天候化と思いきや味方した演出はなかなかでニクイ。空模様と同じく、ポンコツ達の表情も晴れた様子に♪
私が撮影を組む場合、準備であるヘアメイクに割かれる時間が多く、実際の撮影時間は極端に短い。 この慣れた元モデルの先輩カメラマンの場合、それはさらに短縮される。私が個人的に好きな先輩の言葉は、
『偶然に撮れた好い写真を選ぶのではなく、創りたい写真を意図的である好い写真を撮りたい』との台詞。
誰もが覚えのあるであろうシャッター音、眩く1シーンを留めるかのようなストロボの光に包まれるスタジオ情景に、さりげなく流れているアップテンポのBGM。 その中で、眩しい笑顔と無表情に顔を歪めながら、体全身で流れるかの様なポーズをキメるモデル……。
映像的な表現としてありがちなシーン描写であり、誰もが一度は映像で観た事があるであろう1シーンではあるが、そんな情景はここにはない。
これは視覚的に解り易い描写であり、実際にレギュラー的な撮影チームで慣れたプロの場合のみ稀に存在する。
ここ近年のデジタル化ではありと言えるが、昔はフィルム費用は馬鹿にならず、ハイレベルの撮影ならばバイテンで撮られており1シャッター五千円と考えるならば、あの情景こそ質の低い撮影だった。 虚像が近年のデジタル化で現実と混ざる矛盾。
そしてここ近年、デジタル化と同時にレタッチによる加工により、様々な面で変化がある。 不思議とフィルム派のカメラマンが伸びている理由は、一枚に対する丁寧さの影響があるのかもしれないと個人的な推測もある。
昔と違い、デジタルでの撮影は即座に写真を確認する事ができ、これの良し悪しもある。
ポンコツ連中が多少なり撮影の重たい空気に慣れてきたところ、屋外の撮影となる絶好のタイミングとなった。そもそも天候が良ければ先ず屋外撮影の予定であり、雨のままならば撮影不可だったのだから、なかなかで恵まれたと言える。
数多くの撮影経験があればこそ、写真の質感にクオリティの違いが解る。 単純にカッコ良さそうだと感じるだけで、モデルの表情はかなりの変化が現れるのだから、カメラマンが褒めるのは至極当然の技術なので、欲を言えばポンコツどもに低いレベルで調子に乗って欲しくはない……。
雨上がりの空は、なかなかで綺麗だった。